尿酸値ヘッダー

【目次】

色々な尿酸値を下げる方法、食べ物が提唱されているが真偽は疑わしい・・・

尿酸値を下げるサプリ、漢方、クエン酸、重曹、コーヒー、アルカリ性食品、乳製品、水・・・色々な尿酸値を下げる食べ物、飲み物、方法が提唱されていますが、そのなかには正直根拠が乏しく本当に効果があるのか疑わしいものがたくさんあります。

色々な情報から本当に効果が見込める尿酸値対策を考えてみました。

尿酸値が高くなる原因は肥満、アルコール、ストレス

そもそも尿酸値とはなんでしょう?人間の細胞の全てには核があり、核には核酸が詰まっています。核酸を構成する主たる成分がプリン体です。プリン体は肝臓や腎臓で分解され最終的に尿酸となります。尿酸はほとんどが尿や便として体外に排出されます。排出しきれなかった分が血中に留まります。

正常値は3.0~7.0mg/dl

血中にとどまっている尿酸の濃度が尿酸値で、正常値は3.0~7.0mg/dlです。7.0mg/dl以上になると高尿酸血症です。代謝により細胞は生まれては死んでいきます。ですので食べ物を食べなくても生きている以上尿酸は生み出されるということです。尿酸は抗酸化作用を持ち体に必要なものでもあります。尿酸値が低すぎても問題です。

尿酸値が高くなる理由は体内での生産量が増えるか、排出量が減るか、その両方かです。日本人の場合、排出量が減ることが原因の人が6~8割らしいです。そして、その原因は主に肥満、アルコール、ストレスです。
尿酸値高い人イメージ

食べ物のプリン体は気にしなくていい!

上で述べたように、生きている以上勝手に体内では尿酸が作られます。食事で入ってくる分もありますが、ほとんど体外に排出されてしまいます。体内で生産される分が8~9割、食事で入ってくる分が1~2割という割合です。ですから、そんなに神経質に食べ物に含まれるプリン体の量を気にして制限する必要は無いんです。さすがにレバーや白子を大量に食べ続けるのは問題かと思いますが…。

では尿酸値を下げるには何を気をつけるべきなんでしょう?

明治以前の日本人に痛風はいなかった

今や全国に数十万人の患者がいるという痛風ですが、明治以前の日本には痛風はなかったという記録があります。

“安土桃山時代に日本を訪れたポルトガル人宣教師のルイス・フロイスは日本人には痛風がないと記録し、明治のはじめにもドイツ人医師ベルツが「日本には痛風がいない」と記録しています。 痛風が日本史に忽然と現れるのは明治になってからで、実際に増えたのは戦後、それも1960年代になってからです。”

引用:公益財団法人 痛風財団

実際にはごく僅かながら痛風の人はいたのではないかと思います。しかし、ほぼいないと言えるような状況であったということから、明治以前の日本人の生活に尿酸値を改善するヒントがあるはずです。

江戸時代の町人や農民の一般的な食事

明治以前の食事を調べてみると、現代に比べるとやはりかなり質素に見えます。
また以下のような記述もあります。

“痛風は栄養事情が良くなりしばらくすると増え、戦争などで栄養事情が悪化すると減少します。”

引用:公益財団法人 痛風財団

食料自体が乏しくなることで痛風は減り(尿酸値は下がり)ます。ということは基本的に”これを食べると尿酸値が下がる”という食べ物は無いと考えていいのではないでしょうか。(痛風になりやすい食べ物はあると思いますが)。栄養バランスが悪くなっても、栄養自体が減ることで尿酸値は下がるということです。

気を付けるべきは食べ物の量で、総カロリーを減らして痩せる。食べ物の種類は二の次

肥満と尿酸値にも密接に関係があり、肥満の度合いが強いほど尿酸値が高くなることが分かっています。一般的に肥満を解消するには高カロリーの食品ではなく低カロリーの食品を多く摂ることが推奨されますから、自然と脂っこいものでは無く野菜などを中心にということになってくるかと思います。しかし総カロリーさえ低ければ何を食べても問題はないと言えますから、高カロリー食品を口にしてはいけないということはありません。

尿をアルカリ性にする食品は尿酸値の改善に効果がある?

明治以前の生活は確かに動物性たんぱく質の摂取は少なく、野菜が中心でした。それに倣う意味でも野菜、海藻等の尿をアルカリ性にする食品を摂ることは良いと思います。実際効果の大きいのはアルカリ性という成分よりも、肉等を食べることより総じて摂取カロリーが少なくなることから肥満の解消に繋がるという効果が大きいのではないでしょうか。

イヌイットの人たちには痛風がいないそうです。彼らは食事の中の肉食の割合が非常に高いですがそれでも痛風にならない(尿酸値が上がらない)のは、彼らの環境に適応するための体質の進化もあることながら、動物性たんぱく質が尿酸値を上げることは無いということを示しているのではないでしょうか。野菜でも食べ過ぎて摂取カロリーが高くなってしまうようでは本末転倒です。

尿酸値を下げると言われる食べ物ののウソ、ホント

世の中には尿酸値を下げるものとして色々な飲みものや食べ物が挙げられていますが、基本的に尿酸値を下げる食べ物は無いと思ってもいいと思います。(逆に上げる食べ物もあまり無い)尿酸値が高い人は本当に困っているので、その弱みに付け込むような商品もたくさんあります。

種別 効果の信ぴょう性 コメント
クエン酸・重曹・酢 × 尿をアルカリ性に近づけて尿酸を溶けやすくするというのは理に適っているように思えるが、クエン酸等で尿酸値が下がるというのは医学的に証明されていない。改善した例として挙がるのは、クエン酸の摂取ではなく水分を多く摂ったからだと思います。ただクエン酸は疲労回復や乳酸を分解するのに役立つようなので摂ることはいいことだと思います。
コーヒー・牛乳 アメリカの4万人への生活習慣調査で、コーヒー、乳製品を多く摂取する人は痛風になりにくいという調査結果がある。これも医学的に証明はされておらず、個人的には水分をジュースやスポーツドリンクで摂るよりも肥満になりにくいからという理由で、その成分が尿酸値に作用しているわけではないのではないかと思います。
アルカリ性食品 明治以前の食事は野菜が中心だったのでそれに倣うという意味で良いことだとは思います。アルカリ性食品が直接的に良いというよりは、肥満の解消に役立つという意味で良いのではという見解です。
サプリ(アンセリン以外) × 色々尿酸値が下がりそうな謳い文句があっても具体的にどういう成分がどう尿酸値に作用するなどは書かれておらず、具体的な改善例も上がっていないことがほとんど。肥満が改善するものならばそういう意味で効果はあるのかも。
アンセリン 〇(?) まだはっきり確証があるとはいえないかもしれないが、検査機関でモニター調査もして効果が認められている。尿酸値を下げる食べ物は無いと言ってきましたが例外になるかもしれません。
(参考:焼津水産化学工業)
水分(水、お茶など) 一日の排尿量が2L以上になるまでは尿量に比例して尿酸の排出量が増えることはわかっているので、1日2~3Lを目安に水分を摂ることは尿酸値を下げると言えます。
(参考:日本痛風・核酸代謝学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版)

ビールは飲んでもいい、適量ならむしろ良い効果もある

以前はビールは痛風の大敵という認識がされていて、いまだにそう思っている方も多いのではないでしょうか。上でも述べたように食べ物から体内に入るプリン体はほとんど気にする必要がありません。

ただアルコールは体内の尿酸の生産を促し、排出を抑えるので尿酸値を上げる効果があります。しかし飲んではいけないわけではなくむしろ尿酸値を下げる効果も期待できます。納光弘氏は著書の『ビールを飲みながらでも痛風は治る』の中で自身の尿酸値をこまめに調べた結果以下の結論を導いています。

“少量のアルコール(日本酒に換算して1日1.5合以内)なら、ストレスを解消することによりむしろ尿酸値を下げる。”

“日本酒に換算して1日3合程度のアルコールは腎臓からの尿酸排泄を抑制するため、尿酸値は上昇する。”

引用:納光弘『痛風はビールを飲みながらでも治る!』(小学館文庫、2014年、P.71)

適正量であれば尿酸を下げることにもつながるので、量を守ればアルコールを摂取しても構わないようです。その範囲を超えたアルコールは確実に尿酸値を上げますから絶対に控えましょう!下の表はお酒の1単位を示したもので適量範囲として2単位ぐらいまでです。

お酒の1単位(純アルコールにして20g)

アルコールの種類 目安アルコール度数 適正量
ビール
ビール
5度 中びん1本(500ml)
日本酒
日本酒
15度 1合(180ml)
焼酎
焼酎
25度 0.6合(約110ml)
ウイスキー
ウイスキー
43度 ダブル1杯(60ml)
ワイン
ワイン
14度 1/4本(180ml)
チューハイ
缶チューハイ
5度 1.5缶(約520ml)

出典: 社団法人アルコール健康医学協会

運動は必ずしもしなくていい

運動が直接尿酸を減らすということはありませんし、運動の内容によっては体内の尿酸を増やすことにもつながります。しかし尿酸値の改善方法として運動が勧められているのは肥満の解消につながるからです。ダイエットは基本的に食事制限と運動をすることが推奨されますが、もし食事制限だけで目標とする減量が達成できるなら運動はしなくてもいいと思います。それは尿酸値を下げるという観点だけから見た場合で、適度な運動は様々な生活習慣病の予防につながりますからできれば取り入れたいですね。

尿酸値を下げる目的の運動の時に気を付けることですが、無酸素運動ではなく、有酸素運動をするようにしてください(ジョギング、ウォーキング、サイクリング)。無酸素運動で生まれる乳酸は尿酸の排出を妨げる性質があるからです。そして、運動すればするほど尿酸値が下がるという考えは間違いです。

ストレスも尿酸値と因果関係がある

ストレスが直接尿酸値に影響があるかはまだ不明な点もあるようですが、ストレスが高まることにより交感神経が働き代謝が活発化、尿酸の生産が増える、排尿機能の低下により尿酸の排出量が減ることなどが理由で、尿酸値に悪影響があるようです。納光弘氏(『痛風はビールを飲みながらでも治る』著者)が自身の精神状態と尿酸値に相関性が見られることを確認しています。

体質的に尿酸値が高くなってしまう人もいる

今まで栄養の過多による肥満やアルコール過剰摂取が尿酸値が高い原因と述べてきましたが、例外もあります。実際に痩せ形でアルコールもあまり飲まない人が尿酸値が高いケースがあります。(172cm,57kgで尿酸値7.2mg/glなど)

理由としては腎臓機能の低下、ABCG2遺伝子の異常などが考えられます。ABCG2遺伝子は尿酸の体外排出にかかわる遺伝子で以下のような研究結果が発表されています。

”ABCG2遺伝子に変異が認められる場合には、そうでない場合に比べて痛風の平均発症年齢が最大で6.5歳若くなること、20代以下では痛風発症のリスクが最大22.2倍も高くなること、そして20代以下で発症した痛風患者の約9割がこの遺伝子変異を持っていた”

出典:Scientific Reports

これがおそらく明治以前にも痛風の人はごく少数いたのではないかと考える理由で、体質的にどうしようもないというのが所見です。

ただ昔ならそれで打つ手がなかったのですが、いまはちゃんと尿酸値を下げる薬があります。薬を飲み続けることにはなってしまうかもしれませんが、高尿酸血症による痛風やその他合併症を避けることができます。

尿酸値を下げる薬を使えばちゃんと尿酸値は下がる

今は尿酸値を下げる薬が開発されて、それを服用すればちゃんと尿酸値を下げられます。尿酸値を下げる薬を飲むと一生飲み続けなくてはいけないと思われがちです。確かに尿酸値を下げる薬は尿酸が高くなる体質そのものを治療するものではありません。

薬を飲み続けないといけないのか

尿酸値の改善は長期的な取り組みになるので、基本的に長い期間の服薬が必要になりますし、体質や生活習慣を変えなければ確かに一生飲み続ける必要があります。しかし、服用して尿酸値を抑えながらその間に、肥満の解消や生活習慣の改善することができれば薬を飲むことをやめることもできるようです。高尿酸血症の状態は非常に危険ですので、お医者さんから勧められたら迷わず服用しましょう。そして薬からの卒業を目指しましょう!

2011年、40年ぶり新薬、日本発のフェブリク発売

尿酸値を下げる薬は数種類あります。まず尿酸の生産を抑制する薬でザイロリック(アプリノール)があります。副作用としては発疹、じん麻疹、かゆみ、食欲不振、胃の不快感、下痢などが見られます。
今まで尿酸値を下げる薬としてザイロリックが一般的でしたが、2011年に40年ぶりに尿酸値を下げる新薬としてフェブリク(フェブキソスタット)が発売されました。

ザイロリックとの違いは、ザイロリックは1日2~3回の服用が必要だったのに対し、1日1回でいいこと。実際に服用している人の声を見ると、ザイロリックに比べ副作用が少ない、尿酸値を下げる効果が大きいなどの声が聞かれます。その分若干値段は高くなるようです。こちらも副作用として発疹、かゆみ、下痢、吐き気、腹痛、けん怠感などが見られます。
(参考:お薬Q&A ~Fizz Drug Information~

そして尿酸の排出を促進する薬としてベネシット錠、ユリノームなどがあります。実際に自分の尿酸値が高くなっている原因により服用すべき薬は変わってきますし、それを自分で判断することは無理です。まずは病院で診断を受けて、自分の体の状態に合った薬を処方してもらうようにしてください。

尿酸値を下げる薬

生産抑制型 排出促進型
・フェブリク(フェブキソスタット)
・ザイロリック(アロプリノール)
・アロシト-ル(アロプリノール)
・ベネシット錠(プロベネシド)
・ユリノーム(ベンズブロマロン)

保険適応の場合2~3000円で血液検査を受けられる

尿酸値を調べるには血液検査を受ける必要があります。ただ健康診断を目的とした検査を受けたいということでは保険が適用されませんが、病気の治療の目的であれば保険を適用して2~3000円で検査を受けられるようです。もし以前尿酸値が7.0以上でしたら高尿酸血症なので問題無く保険が適用されますし、そうでなくても”体調が悪い””貧血気味で”と言えば保険が適用されるようです。
個人の開業医だと2~3日後とか、大きな病院であればその日のうち(1~2時間後くらい)に結果が分かります。
参考:教えてgooYahoo!知恵袋
尿酸値(UA,UL)の値をチェックしましょう。もし7.0以上あれば高尿酸血症です。
忙しくて病院に行く時間が無いという方には、自宅で血液検査ができるDEMECAL生活習慣病検査キットをおすすめします。注文すると自宅にキットが届き、それを使い指先のわずかな血液を採取し返送します。採血といってもとても簡単で、キットを受け取ってポストに投函するまでの全工程で1時間もかからないようです。1週間ほどで検査結果のシートが送られてきます。

参考文献:監修 日高雄二『患者の為の最新医学 痛風・高尿酸血症』(高橋書店、2014年),納光弘『痛風はビールを飲みながらでも治る!』(小学館文庫、2014年),藤森新・泉眞理子・島崎とみ子『痛風の人の食事』(女子栄養大学出版部、2002年)、監修 谷口敦夫『尿酸値が高い人がまず最初に読む本』(主婦と生活社、2014年)

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